同型なベクトル空間の次元(2)
ベクトル空間が同型であるための必要十分条件を示します。すなわち、$2$ つのベクトル空間 $V$ と $W$ が同型であるためには、$V$ と $W$ の次元が等しいことが必要にして十分です。
この定理から、次元が等しいベクトル空間はすべて互いに同型であるということができます。
同型なベクトル空間の次元
定理 4.41(ベクトル空間が同型であることと同値な条件)
$V, W$ をベクトル空間とする。$V$ と $W$ が同型であるためには、$V$ と $W$ の次元が等しいことが必要にして十分である。
解説
ベクトル空間が同型であるための条件(必要十分条件)
定理 4.41(ベクトル空間が同型であることと同値な条件)は、$2$ つのベクトル空間が同型であるための必要十分条件を示しています。すなわち、$V$ と $W$ が同型であることと、$V$ と $W$ の次元が等しいことは同値です。
この定理から、互いに同型なベクトル空間の次元は等しく、逆に、次元の等しいベクトル空間は互いに同型であるといえます。
ベクトル空間の同型とは
$2$ つのベクトル空間 $V$ と $W$ が同型であるとは、$V$ と $W$ の間に 同型写像( 線型独立かつ 全単射であるような写像)が存在するということに他なりません( 同型写像の定義、)。
ベクトル空間が同型であることの確認方法
$2$ つのベクトル空間が同型であることを示すために、その間に同型写像が存在することを確かめるのは非常に面倒です(下記の 証明ではこれを確かめています)。
定理 4.41(ベクトル空間が同型であることと同値な条件)の存在意義はこの点にあります。
すなわち、$2$ つのベクトル空間 $V$ と $W$ が同型であることを示すためには、$V$ と $W$ の間の(無数に存在する)同型写像を考える必要はなく、$V$ と $W$ の次元が等しいことを確かるのみで良いというわけです。
次元が等しいベクトル空間は互いに同型である
定理 4.41(ベクトル空間が同型であることと同値な条件)は、次元の等しい $2$ つのベクトル空間が互いに同型であることを表しているともいえます。
このことから直ちに、次元が等しいベクトル空間がすべて互いに同型であることを導くことができます。
証明
まず、$V$ と $W$ が互いに同型であるとして、$V$ と $W$ の次元が等しいことを示す。いま、$V$ から $W$ への同型写像 $f : V \to W$ が存在することから、$\dim V = n$ として、$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n} \in V$ を $V$ の基底とすれば、$\bm{w}_{1} = f( \bm{v}_{1} ), \cdots, \bm{w}_{n} = f( \bm{v}_{n} )$ を満たす $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n} \in W$ が存在する。$f$ は全射なので、任意の $\bm{w}$ に対して $\bm{w} = f( \bm{v} )$ となる $\bm{v}$ が存在する。また、任意の $\bm{v}$ が $\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ の線型結合として表せることから、次が成り立つ。
よって、任意の $\bm{w}$ は $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ の線型結合で表すことができる。すなわち、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ は $W$ を生成する。また、$c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = \bm{0}$ とすると、$f$ が線型写像であることから次が成り立つ。
いま、$f$ は単射なので $\text{Ker} f = \{\, \bm{0} \,\}$ である。よって、$f( c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} ) = \bm{0}$ ならば $c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} = \bm{0}$ であり、$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ が線型独立であることから $c_{1} = \cdots = c_{n} = 0$ となる。したがって、$c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = \bm{0}$ ならば $c_{1} = \cdots = c_{n} = 0$ が成り立ち、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ は線型独立である。以上から、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ は $W$ の基底であり、このとき $\dim W = \dim V = n$ が成り立つ。
次に、$\dim W = \dim V = n$ として、$V$ と $W$ が同型であることを示す。$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ を $V$ の基底、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ を $W$ の基底として、次のような写像 $f : V \to W$ を考えると、$f$ は明らかに線型写像である。
$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ は $W$ の基底であるので、任意の $\bm{w} \in W$ は $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ の線型結合として $\bm{w} = c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n}$ と表すことができ、これに対して $c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} \in V$ が存在する。よって $f$ は全射である。また、任意の $\bm{v}, \bm{v}^{\prime} \in V$ を、それぞれ $\bm{v} = c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}, \; \bm{v}^{\prime} = c^{\prime}_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{v}_{n}$ とすると、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が線型独立であることから次が成り立つ。
よって $f$ は単射である。以上から、$f$ は同型写像であり、このとき $V$ と $W$ は互いに同型である。$\quad \square$
証明の考え方
($1$)$V$ と $W$ が互いに同型である($V \simeq W$)ことと($2$)$V$ と $W$ の次元が等しい($\dim V = \dim W$)ことの同値性を示します。
- $V$ から $W$ への同型写像 $f : V \to W$ が存在することを仮定し、$V$ の基底 $\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ の同型写像 $f$ による像 $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が $W$ の基底となることを示します。
- $V$ と $W$ の次元が等しい(それぞれ $n$ 個のベクトルからなる基底を持つ)ことを仮定して、$V$ から $W$ への同型写像が存在することを示します。
($1$)$\Rightarrow$($2$)の証明
前提事項の整理
- 定義より、$V$ が $W$ に同型ならば $V$ から $W$ への同型写像 $f : V \to W$ が存在するといえます。
- $\dim V = n$ として、$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n} \in V$ を $V$ の基底とします。
- このとき、$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ に対して、$\bm{w}_{1} = f( \bm{v}_{1} ), \cdots, \bm{w}_{n} = f( \bm{v}_{n} )$ を満たす $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n} \in W$ が存在することがいえます。
- これは $f$ が写像であることによります(これは $f$ が同型写像でなくても成り立ちます)。
- このようにして得られる $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が $W$ の基底となることを示せば、$\dim V = \dim W$ が示されたことになります。
- このため、以下では、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が 基底の条件($1$)$W$ を生成すること、($2$)線型独立であること、を示します。
基底の条件(1)$W$ を生成することの証明
まず、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が $W$ を生成することを示します。
上記の 前提事項から、任意の $\bm{w} \in W$ に対して次が成り立ちます。
$$ \begin{split} \bm{w} &\overset{(\text{i})}{=} f( \bm{v} ) \\ &\overset{(\text{ii})}{=} f( c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} ) \\ &\overset{(\text{iii})}{=} c_{1} f( \bm{v}_{1} ) + \cdots + c_{n} f( \bm{v}_{n} ) \\ &\overset{(\text{iv})}{=} c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} \\ \end{split} $$- ($\text{i}$)$f$ は全射なので、任意の $\bm{w}$ に対して $\bm{w} = f( \bm{v} )$ となる $\bm{v}$ が存在します。
- ($\text{ii}$)$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ は $V$ の基底なので、任意の $\bm{v} \in V$ は $\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ の線型結合として表せます( 定理 4.28(基底であることと同値な条件))。
- ($\text{iii}$)$f$ が線型写像であることによります( 線型写像の定義)。
- ($\text{iv}$)$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ の置き方から、$\bm{w}_{1} = f( \bm{v}_{1} ), \cdots, \bm{w}_{n} = f( \bm{v}_{n} )$ が成り立ちます。
上式より、任意の $\bm{w}$ は $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ の線型結合で表すことができることがわかりました。
すなわち、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が $W$ を生成することが確かめられました。
基底の条件(2)線型独立であることの証明
次に、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が線型独立であることを示します。
- $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が自明でない線型関係を持たない(自明な線型関係しか持たない)ことを示します。
- これは、$c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = \bm{0}$ ならば $c_{1} = \cdots = c_{n} = 0$ が成り立つことにより確かめられます( 線型独立の定義)。
上記の 前提事項から、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ の線型関係 $c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = \bm{0}$ について、次が成り立ちます。
$$ \begin{gather*} & c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = \bm{0} \\ \overset{(1)}{\iff} & c_{1} f( \bm{v}_{1} ) + \cdots + c_{n} f( \bm{v}_{n} ) = \bm{0} \\ \overset{(2)}{\iff} & f( c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} ) = \bm{0} \\ \end{gather*} $$- ($1$)$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ の置き方によります。
- ($2$)$f$ が線型写像であることによります( 線型写像の定義)。
$f$ は単射なので $\text{Ker} f = \{\, \bm{0} \,\}$ であり( 定理 4.12(線型写像と単射))、次が成り立ちます。
$$ \begin{gather*} & f( c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} ) = \bm{0} \\ \Rightarrow & c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} = \bm{0} \end{gather*} $$- $f$ が単射ならば $f$ の核($f$ により $\bm{0}$ に移る元)は零ベクトルのみ $\{\, \bm{0} \,\}$ です( 定理 4.12(線型写像と単射))。
- したがって、$f$ による $c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}$ の行き先が $\bm{0}$ であれば、$c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}$ は $\bm{0}$ に等しい、といえるわけです。
また、$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ は線型独立であることから、$c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} = \bm{0}$ ならば $c_{1} = \cdots = c_{n} = 0$ となります。
$$ \begin{gather*} & c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} = \bm{0} \\ \Rightarrow & c_{1} = \cdots = c_{n} = 0 \end{gather*} $$以上から、$c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = \bm{0}$ ならば $c_{1} = \cdots = c_{n} = 0$ が成り立ちます。すなわち、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ は線型独立であることが確かめられました。
($1$)$\Rightarrow$($2$)の証明(まとめ)
- $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ が($1$)$W$ を生成し($2$)線型独立であることから、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ は $W$ の基底であることが示されました。
- よって、$\dim W = \dim V = n$ が成り立ちます。
($1$)$\Leftarrow$($2$)の証明
前提事項の整理
- $\dim W = \dim V = n$ として、$\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ を $V$ の基底、$\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ を $W$ の基底とします。
- このとき、次のような写像 $f : V \to W$ を考え、これが同型写像であることを示せばよいわけです。$$ \begin{align*} \tag{$\ast$} f( c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} ) = c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} \end{align*} $$
写像 $f$ が存在することの確認
($\ast$)で定められる対応 $f : V \to W$ が写像であることは明らかといえます。
上記の 証明では省略していますが、このことは次のように確かめられます。
- $\bm{v}_{1}, \cdots, \bm{v}_{n}$ は $V$ の基底であるので、その線型結合である $c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}$ は任意の $V$ の元を表すことができます( 定理 4.28(基底であることと同値な条件))。
- したがって($\ast$)は任意の $V$ の元に対して成り立つといえます。これは、任意の $\bm{v} \in V$ に対して $\bm{w} = f( \bm{v} )$ となるような $\bm{w}$ が存在するということに他なりません。
- また、任意の $\bm{v}, \bm{v}^{\prime} \in V$ を、それぞれ $\bm{v} = c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}, \; \bm{v}^{\prime} = c^{\prime}_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{v}_{n}$ とすると、次が成り立ちます。$$ \begin{split} \bm{v} = \bm{v}^{\prime} \; &\Rightarrow \; c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} = c^{\prime}_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{v}_{n} \\ &\Rightarrow \; (c_{1} - c^{\prime}_{1}) \, \bm{v}_{1} + \cdots + (c_{n} - c^{\prime}_{n}) \, \bm{v}_{n} = \bm{0} \\ &\Rightarrow \; c_{1} = c^{\prime}_{1}, \, \cdots, \, c_{n} = c^{\prime}_{n} \\ &\Rightarrow \; c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = c^{\prime}_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{w}_{n} \\ &\Rightarrow \; f(\bm{v}) = f(\bm{v}^{\prime}) \end{split} $$
以上から $f : V \to W$ は 写像であるための条件を満たします( 写像の定義)。
$f$ が線型写像であることの確認
- また、$f : V \to W$ が線型写像であることも明らかといえます。
- このことも、上記の 証明において省略していますが、次のように確かめられます。
- すなわち、 線型写像の定義にしたがって、$f$ が和とスカラー倍の演算をそれぞれ保存することを確かめます。
$f$ が和の演算を保存することの確認
- $2$ つのベクトル $\bm{v}, \bm{v}^{\prime} \in V$ を $\bm{v} = c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}, \; \bm{v}^{\prime} = c^{\prime}_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{v}_{n}$ とすると、$\bm{v}$ と $\bm{v}^{\prime}$ の和について次が成り立ちます。すなわち、$f$ はベクトルの和の演算を保存するといえます。$$ \begin{split} f( \bm{v} + \bm{v}^{\prime} ) &= f \Big( \, (c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}) + (c^{\prime}_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{v}_{n}) \, \Big) \\ &= f \Big( \, (c_{1} + c^{\prime}_{1}) \, \bm{v}_{1} + \cdots + (c_{n} + c^{\prime}_{n}) \, \bm{v}_{n} \, \Big) \\ &= (c_{1} + c^{\prime}_{1}) \, \bm{w}_{1} + \cdots + (c_{n} + c^{\prime}_{n}) \, \bm{w}_{n} \\ &= (c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n}) + (c^{\prime}_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{w}_{n}) \\ &= f( \bm{v} ) + f( \bm{v}^{\prime} ) \end{split} $$
$f$ がスカラー倍の演算を保存することの確認
ベクトル $\bm{v} \in V$ とスカラー $\alpha \in K$ について、$\bm{v} = c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}$ とすると、$\bm{v}$ の $\alpha$ 倍について次が成り立ちます。すなわち、$f$ はスカラー倍の演算を保存するといえます。
$$ \begin{split} f( \alpha \bm{v} ) &= f \Big( \, \alpha \, (c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}) \, \Big) \\ &= f \Big( \, (\alpha c_{1}) \, \bm{v}_{1} + \cdots + (\alpha c_{n}) \, \bm{v}_{n} \, \Big) \\ &= (\alpha c_{1}) \, \bm{w}_{1} + \cdots + (\alpha c_{n}) \, \bm{w}_{n} \\ &= \alpha \, (c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n}) \\ &= \alpha \, f( \bm{v} ) \end{split} $$以上から、$f$ は線型写像であることが確かめられました。
$f$ が全単射であることの証明
- 線型写像 $f$ が全単射であることを確かめます。ここが($1$)$\Leftarrow$($2$)の証明の主要な部分です。
$f$ が全射であることの証明
- $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ は $W$ の基底であるので、任意の $\bm{w} \in W$ は $\bm{w}_{1}, \cdots, \bm{w}_{n}$ の線型結合として $\bm{w} = c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n}$ と表すことができます。すなわち ($\ast$)式の右辺は $W$ 全体をわたります。
- この任意の $\bm{w} \in W$ に対して、 ($\ast$)式により $c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} \in V$ が存在します。
- したがって、$f$ は全射であるといえます( 全射の定義)。
$f$ が単射であることの証明
同様に、任意の $\bm{v}, \bm{v}^{\prime} \in V$ を、それぞれ $\bm{v} = c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n}, \; \bm{v}^{\prime} = c^{\prime}_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{v}_{n}$ とすると、 ($\ast$)式より、次が成り立ちます。
$$ \begin{split} f(\bm{v}) = f(\bm{v}^{\prime}) \; &\Rightarrow \; c_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{w}_{n} = c^{\prime}_{1} \bm{w}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{w}_{n} \\ &\Rightarrow \; (c_{1} - c^{\prime}_{1}) \, \bm{w}_{1} + \cdots + (c_{n} - c^{\prime}_{n}) \, \bm{w}_{n} = \bm{0} \\ &\Rightarrow \; c_{1} = c^{\prime}_{1}, \, \cdots, \, c_{n} = c^{\prime}_{n} \\ &\Rightarrow \; c_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c_{n} \bm{v}_{n} = c^{\prime}_{1} \bm{v}_{1} + \cdots + c^{\prime}_{n} \bm{v}_{n} \\ &\Rightarrow \; \bm{v} = \bm{v}^{\prime} \\ \end{split} $$したがって、$f$ は単射であるといえます( 単射の定義)。
($1$)$\Leftarrow$($2$)の証明(まとめ)
- 以上から、$f$ は線型写像かつ全単射、すなわち同型写像であることが確かめられました。
- $V$ から $W$ への同型写像 $f : V \to W$ が存在するので、$V$ と $W$ は互いに同型であるといえます。
まとめ
- $V, W$ をベクトル空間とする。$V$ と $W$ が同型であるためには、$V$ と $W$ の次元が等しいことが必要にして十分である。$$ \begin{equation*} V \simeq W \; \Leftrightarrow \; \dim V = \dim W \end{equation*} $$
参考文献
[1] 齋藤正彦. 線型代数入門. 東京大学出版会. 1966.
[2] 永田雅宣 他. 理系のための線型代数の基礎. 紀伊國屋書店. 1986.
[3] 川久保勝夫. 線形代数学 [新装版]. 日本評論社. 2010.
[4] 松坂和夫. 線型代数入門 [新装版]. 岩波書店. 2018.
[5] 三宅敏恒. 線形代数学 初歩からジョルダン標準形へ. 培風館. 2008.
[6] S. Lang. Linear Algebra Third Edition. Springer. 1987.
[7] T. Miyake. Linear Algebra From the Beginnings to the Jordan Normal. Springer. 2022.
[8] 雪江明彦. 代数学 $1$ 群論入門. 日本評論社. 2010.
[9] 雪江明彦. 代数学 $2$ 環と体とガロア理論. 日本評論社. 2010.
[10] 桂利行. 代数学 $\text{I}$ 群と環. 東京大学出版会. 2004.
[11] 松坂和夫. 代数系入門. 岩波書店. 1976.
[12] 高木貞治. 代数学講義 [改訂新版]. 共立出版. 1965.
[13] S. Lang. Algebra Revised Third Edition. Springer. 2002.
[14] M. Artin. Algebra Second Edition. Pearson Education Limited. 2014.
[15] 青本和彦 他. 数学入門辞典. 岩波書店. 2005.